「100万回生きたねこ」のあらすじと感想&ラストの3つの解釈

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「100万回生きたねこ」は、
幼い子供はもちろん
大人が読んでも感動できる
絵本です。

僕自身、感動しました。


今回は、そのあらすじと感想、
ラストシーンの3つの解釈を紹介します。

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ストーリー

あらすじですが、
主人公の名前は「ねこ」


彼は100万回も生まれかわりを繰り返していました。

ある時は王様に飼われている猫だったり、
船乗りに飼われていたり、
サーカス用だったり、泥棒だったり、
お婆さんに飼育されていたり。

100万人の人と共に暮らしました


飼い主になった人はいつもねこが好きで、
彼が亡くなる度に、
みんな悲しくて涙を流しました。

でも、ねこはただの一度も
飼い主を好きになりませんでした



そしてある時、
彼は初めて、誰にも飼育されていない「のらねこ」になりました。

立派なとらねこに生まれかわったため、
たくさんのメスねこ達が彼の元にやってきて、
仲良くしようとしました。


でも、彼が好きになったのは、
自分のことを見向きもしなかった白いねこ



彼等は両想いになって、
子供も育てました。

でもある日、
白いねこは静かに動かなくなりました。

彼は初めて涙を流し、
彼もまた、彼女の隣で、
静かに動かなくなりました。


そしてねこは、
もう生まれかわることはありませんでした。



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読んで思ったこと

僕が読んで感じたのは
いい意味で「寂しいな」という気持ちです。


心が温まると感じる人も多いでしょうから、
こう感じるのは少数意見なのかもしれませんけど、

「最後に愛を知ったねこは、
 生まれかわるのをやめちゃうんだな」
と思うと、
切ない気持ちが溢れてきました。


僕はこの作品を、大人になってから初めて読んだので、
子供が読んだり、子供の頃に読んだ事がある人とは
少し感じ方が違ったかもしれません。


子供はこれから成長していきますから、
多くの子は、序盤の主人公のような
「傲慢な自分」も経験する事でしょう。

もちろん、大人になったって傲慢になることは誰にだってあります。


でも、本気で誰かを好きになる経験をする前と後とでは、
この絵本に対しての見方も変わる
のではないでしょうか。

少なくとも僕は、
愛や恋を知る前の、幼少期にこれを読んでいたら、
今とは違う感じ方をしたと思います。


また、シンプルな内容であるだけに、
自分の人生の中で「命」に関わる、
どんな経験をしてきたか
(あるいはしなかったか)
によっても、

感じ方は大きく変わる作品でしょう。


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最後の場面の3つの解釈

ラストシーンは、
「白いねこと共に、ねこも亡くなり、
生まれかわりをやめる」
という展開ですが、

なぜ主人公はその選択をしたのか、
人によって意見が違うでしょう。


ここでは、3つの解釈を紹介しますね。


①白いねこの居ない世界なら、
生まれかわる意味がないと思ったから。

作中の言葉で、
ねこは、白いねこといっしょに、
いつまでも生きていたいと思いました。
という言葉があります。

裏を返せば、
彼女の居ない世界に転生したって
毎日が虚しいだけかも
しれません。


彼女が本気で好きだったのなら、
他の誰かを本気で愛することはできないかもしれませんし。



②初めて、自分のことを愛してくれた、
100万人の人間の気持ちがわかったから。

言いかえれば「精神的に成長したから」とも言えますね。

初めて涙を流す側の気持ちを知って、
100万人の飼い主のみんなに感謝ができた事で、
100万回の転生に意味を見出すことができたのなら、
「もう十分」と思えたかもしれません。



③最愛のねこを亡くして、
もう生まれかわる気持ちになれなかったから。

①と似ていますが、
これはもう少しネガティブな理由。


「もう彼女を愛せたから、
 生まれかわる必要はない」
みたいな悟りの気持ちではなく、

「もう生まれかわるのが辛い」
深い悲しみの中での決断だったのかもしれません。


上の2つと比べちゃうと
あんまりいい理由ではないかもしれませんけど、
僕がねこの立場で転生をやめるとしたら
この理由かもしれない(^_^;)




どれが正解かはわかりませんし、
どれも不正解かもしれません。

でも、それぞれの読者が思った解釈を
大事にしてほしいと個人的には思っています。




おわりに

海外の名作映画「スタンドバイミー」は、
「人生で2度観る映画」と称されているんですけど、
この絵本にも、それと同じことが言えそうです。


僕は残念ながら
子供時代には読んでいなかったのですが、
大人になってから読んでもそう感じましたし、
人生の節目でもう一度読みたい本だと思いました。


あらすじだけでなく
きちんと読んでみたいという方は、
ご購入されたり、
図書館で借りて読まれることをオススメしますよ。




以上です。
読んでくれてありがとうございます。


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コメントは5件です

  1. キキ より:

    私は読み終えて安堵と幸せを感じました。
    彼は最後とても幸せだったと思います。
    動物本来のあるべき姿、真実の生き方にやっとたどり着けたからです。

    • サイト管理人 より:

      キキさん、コメントありがとうございます。

      真実の生き方。
      なるほど、そうなのかもしれませんね。

      これだけ長く愛されている作品ですから
      きっと幸せだったと感じる人が多いのだと思います。

  2. にゃーん より:

    絵本を買い、作者の真意は一つに違いないと答えを探すため、数回読み返してみました。

    何度も
    「○○なんか きらいでした。」
    と書かれており、これがポイントだと当たりをつけました。

    ”ねこは他を愛する事が出来ないせいで成仏できず、何度でも蘇ってしまった”という設定なのでしょう。これが100万回も生きた理由。

    そして最後に白いねこと子供たちを愛する事でこの世でやるべきことを達成して成仏し、二度とこの世に戻ってくることはなかった。

    ”自分だけでなく、他人をも愛する事がこの世でやり遂げるべき事である”

    という作者のメッセージを表現したのがこの絵本なんでしょう。

    これ子供が読んで作者の意図がわかる訳ないだろ(笑)
    大人ですら意図を読み取るのが難しいのだから。

    ロングセラーに違わず、良い作品でした。

    • サイト管理人 より:

      にゃーんさん、コメントありがとうございます。

      >”自分だけでなく、他人をも愛する事がこの世でやり遂げるべき事である”
      たしかに、この解釈が一番しっくりくる気がします。
      「きらいでした」のくだりを考えれば、
      そういう意図なんだろうな、と納得しますね。

      絵本や児童文学でありながら、大人が読んでも難しい作品が時々ありますが、
      この作品が最たる例かもしれません。

  3. PIA より:

     子どもたちに4桁以上の絵本を読み聞かせてきましたが、「100まん回生きた猫」を読み聞かせたとき、ラストシーンで読み聞かせをして、はじめて泣けて声がでませんでした。感動の絵本です。
     心理学的に王様は人間の誰にでもある地位や名誉願望の象徴であり、次に猫の心理に表されている「戦争は反対」、サーカスを見に行くが動物虐待で少し嫌な気分になるなどの社会風刺も描かれていました。そのうえ深層心理的に誰の心にある傲慢さや嫌な人への「嫌いです」のことばに共感する。過去を自慢する虚栄心や人として嫌な部分の心をすべて猫と共有し、知らず知らず読みながら自分自身を認知していく。
     心に突き刺さる展開のラストシーンでは、自由な身になり、白猫に出会い「一緒にいてもいい?」は、とても印象に残るシーン。大切な人(猫)、真実の愛を知る。人の価値観である地位名誉でもなく、自慢な過去でもなく、何よりも大切な愛。
     事前に名作と知ってて読んだ本だったので「どこがいいのかな」と、邪念ありの出会いでしたが評判以上の作品でした。
     このように大人はこう感動したとか御託を並べたがるが、本当は子どものように純粋な心で感動し、心がほっとあつくなったりなにかが届けばそれは素敵な本。
    名作でした。  ( 心理士 )

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