ここでは、90年代後半にコロコロコミックで連載された、駆けろ大空 のあらすじと、読んだ感想をレビューしていきます。
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読んだ感想
読んだ感想を一言で言うと
大人になってから読んだ方が面白さに気づける作品
ということ。
理由を説明します。
コロコロコミックの作品というのは、ほとんどが小学生の男子が主人公です。
レッツエンドゴーにしてもポケットモンスターにしても。
ただこの漫画に関しては、主人公はおそらく、アラフォーの無精ひげを生やしたおじさん。
なんでコロコロコミックで、そんな人が主人公なんだと不思議なところですが笑
そして不良たちを更生させる国語の先生という設定。
つまりは
自分がヒーローになるんじゃなくて
誰かをヒーローにしていく物語
です。
小学生の頃は、自分が主役になりたい主人公になりたいって強く思った。
けれど、大人になるとその気持ちだけじゃなく、誰かを主役にするという場面も出てくるはず。
それは恋人に対してかもしれないし、自分の子供に対してかもしれないし、会社の部下に対してかもしれない。
そういう視点を得た後でこの作品を読むと、いい意味でこの主人公がぶっ飛んでるなというのを、子供の頃読んだ時以上に感じられました。
スラムダンクで言えば、安西先生が主人公のようなもの。
そういう作品って中々ないですよね。
ぶっ飛んだ大人が主人公の作品だからこそ、子供の頃読んでも気付けなかった物が気づけるようになる。
少なくとも僕はそうでした。
最終回までの簡単なあらすじ
では内容について簡単にまとめていきます。
ホームレスのような国語教師「大空」
舞台は不良達が集まる高校。
それはもう、荒れに荒れまくってるような学校です。
そこに現れたお酒を飲んだ謎のおじさん。
一部の生徒たちから、ホームレスのおっさんは帰れよと罵られてしまいます。
しかし彼は、ホームレスのおじさんではなく、新しく赴任してきた国語の教師でした。
それが主人公の大空。
そんな破天荒教師が、ここから物語を作っていきます。
1人で野球部を立て直す
不良たちを更生させるため、大空は教頭先生に一度廃部になった野球を、もう一度立ち上げたいと直談判をします。
教頭先生は意地悪な性格なこともあって、3日以内に野球部員を集められないなら、野球部を立ち上げることは駄目だと言う条件を突きつけます。
そして学校の不良たちも、野球部に入る気なんてさらさらない様子。
そんな中、大空は荒れた野球のグラウンドの草むしりを始める。
みんな遠目から馬鹿にするだけで、誰も手伝おうともしない。
雨の日もザーザーと濡れながら、草むしりの作業を続けます。
そして悪いことに、生徒の一人であるミラクルが夜の校舎に不良軍団と侵入して、そのグラウンドを、ガラスの破片だらけにして汚してしまいます。
次の日、大空がグラウンドに行くとガラスの破片だらけのありさま。
にもかかわらず、大空はコツコツとガラスを拾い始め、
まだ時間になっていないから焦ることはないと言わんばかりに、ゆっくり作業を始めます。
そんな丁寧な様子に心打たれたミラクルは、他のメンバー達を呼びかけ大空のもとへ。
大空の力で野球部は復活したのでした。
地区予選大会、ボロボロの野球部員
いろんな紆余曲折があった上で、彼らは甲子園の地区予選大会に出場します。
相手のピッチャーは、謎の浮き上がる球を投げることができるトリッキーなピッチャー。
あまりのトリッキーなポールのため、誰も打つことができない。
ここから大空の出番は急に減っていきます。
そして野球部員たちがメインになり、どんどん試合の中で大きな成長を遂げていく。
大空がストレートなボールなのか、トリッキーな浮き上がるボールなのかを見抜く方法を伝えると、少しずつですがボールを打てるようになっていく。
しかしピッチャーで投げ続けていて、満身創痍でボロボロのミラクル。
ミラクルはフラフラでバッターボックスに立ち、まともに素振りもできない。
それでもバットを上から下に降り落とす、ノルカソルかの大根切りプレイを見せる。
なんとかバットにボールを当て、フラフラの体で一塁に向かうミラクル。
なんとかセーフを勝ち取り、僅差で試合をものにするのでした。
最終試合
そして最終試合 この試合は何と、1話だけで終わってしまいます笑
最初大空たちの高校からは誰一人観客がいなかったものの、それはバスが遅延で遅れていただけで、途中でかつての仲間達が、一斉に野球のグラウンドに入ってきて、大応援を始める。
大空はかつて自分が高校野球をしていた頃を思い出し、昔は暑かったなあとしみじみと感慨にふける。
そしてチームが協力して、野球プレーお店でわりとすんなりと地区予選優勝。
甲子園の切符を手に入れました。
記念に大空を胴上げしようとした生徒たち。
しかし、もうそこには大空の姿はありませんでした。
もう自分の役目は終わったんだ。
後はみんな甲子園で存分に暴れてきてほしい。
そんな想いを紙切れに残し、大空は去っていきました。
以上が駆けろ大空の大まかなあらすじになります。
「立つ鳥跡を濁さず」の美学
これちゃんと読んでみると分かるんですが、前半は大空がたくさんのコマで出てくるのですが、後半はごくたまに出てくるだけで、ほとんど大空が出なくなる。
主人公がこんなにも出てこなくなるコロコロ漫画って、他にあるんだろうかってくらい出てきません。
そして最後、胴上げさえされずにいなくなる。
まさに、立つ鳥跡を濁さずといった感じ。
こんなぶっ飛んだ感じで登場して、ぶっ飛んだ感じで野球部を作り、そして部員達の結束が強まってきたところで一気に鳴りを潜め、優勝という最高の結果を手に入れた時には、姿さえ無くなっている。
ある意味において、コロコロコミックらしいぶっ飛び方だなと思いました。
大体のコロコロ作品は、主人公が最初はそんなに強くなかったのに、途中から驚くほど強くなって、めちゃめちゃミニ四駆が速くなったり、めちゃめちゃハイパーヨーヨーが上手くなったりするわけですが笑
僕にとってのヤンキー漫画の元祖
この作品の主人公は、生徒たちを成長させるのがめちゃめちゃ上手で、そして最後は自分が主人公にさえならずに消えていく。
不良が更生する作品って、ルーキーズとかクローズとかありますが、この作品が連載されたのは96年の10月から。
ルーキーズやクローズよりも、先に連載が始まった漫画です。
僕にとっては、不良漫画の元祖は実はこの作品だったりします笑
この作品が読みたくて、コロコロコミックを読み出したって人はほぼいないと思います。
大概はポケモンが読みたくてとか、レッツエンドゴーが読みたくてとかそういう作品ですよね。
その上で、大人になって読んでみると、ちょっとこの作品を目当てにコロコロを読み返したくなるようなそんな魅力を感じました。
大人になってから読んだ方が面白さに気づける作品
そんな漫画でした。
興味のある方は、電子書籍化されているのでぜひ読んでみてください。
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